未来は開かれている:
オープンドキュメントとは何か、そしてなぜ気にかけるべきなのか
The Future is Open:What OpenDocument is and why you should care
by Daniel Carrera
OpenOffice.org volunteer
日本語訳:可知 豊、可知 美紀子
私は、OpenOffice.orgのボランティアであるDaniel Carreraに、オープンオフィスフォーマットについて説明してもらうよう依頼した。どのようにしてフォーマットは選ばれ るのか。また、マサチューセッツ州が作成したような、行政機関での使用に受け入れられるフォーマットのリストにオープンオフィスは載っているのか。もし 載っていないのであれば、リストに載るために何ができるか?彼は快く引き受けてくれた。なぜなら私たちは皆、著作権を有するフォーマットや標準規格に懸念 を抱いているし、より多くの政府がオープンスタンダードを義務付ける方針を適用するようになってきているので、オープンスタンダードはとても重要なテーマ であるからだ。
Danielは オープンドキュメントを「独占的フォーマットによるベンダーロックインと戦う最善のチャンス」と呼ぶ。現在、EU委員会により オフィシャルフォーマットの候補として検討されている。尚、この記事は、最後にあるリンクから、オープンドキュメントを含めいろいろなフォーマットでダウ ンロードできる。いくつかのブラウザーでは、リンクをクリックする代わりに、「名前を付けて保存」をクリックする必要がある。
Daniel Carreraはメリーランド大学の数学の博士号を持つ学生であり、またOpenOffice.orgの ボランティアでもある。彼はOOoの コミュニティ評議会で「コミュニティー代表」を勤める。Danielはまた、OOoAuthors Projectを手助けしており、ほとんどの英語のドキュメンテーションはそこで作成された。彼はサンディエゴで2月9日に開かれるOOo Regiconで講演する。また、2月9日から11日までサンディエゴで開かれる、オープンソースの現在と未来、そしてdesktop Linux technologiesについての会議Desktop Summit 2005でも講演する。彼は初日に”INREACH, Building an Active Community”というテーマについて講演する。
すべての講演者のリストはここからリンクしている。これは確かにおもしろそうである。Mitch Kaporと Doc Searls はdesktop conferenceでの基調講演者である。SunのSimon Phipps がOOoRegicon をキックオフするそうだが、彼は素晴らしい講演者だと聞いている。このリンクからもっと情報がある。座席数が限られており、 サイトでは2月5日から値段が高 くなると言われている。
(** Growklawの編集者 PJによる序文。ここで彼は、Daniel Carreraを彼”He"としているが、本当は女性)
目次
OpenDocumtentとは何か 4
要旨 4
タイムライン 4
EUとValorisレポート 4
選択基準 5
中立であること 5
技術的なメリット 5
幅広く受け入れられること 5
最終選考 6
OpenDocument vs Microsoft XML 6
レポートへの反応 6
Microsoft のValoris レ ポートへの反応 6
SunのValorisレ ポートへの反応 6
The EU TACの 提言 6
MicrosoftのThe EU TACの 提言に対する反応 7
SunのThe EU TACの 提言に対する反応 7
IBMのThe EU TACの 提言に対する反応 7
我々はどこにいて、どこに行く必要があるのか 8
これは我々が勝利できる戦いである 8
オープンドキュメントが成功するために必要なこ と 8
あなたにできること 9
付記 10
参考資料 10
付録1 − 拡大版タイムライン 11
訳注 12
来歴 12
問題:次の文を完成させなさい、「OpenDocumentとは・・・」
オープンなXMLベースのファイルフォーマット。
OASISやISOスタンダードグループにサポートされているオープンスタンダード。
次 期OpenOffice.org 2.0と KOffice 1.4. のデフォルトファイルフォーマット。
EUのオフィシャルフォーマット候補で、選ばれる可能性が最も高いもの。
独占的フォーマットによるベンダーロックインと戦う最善のチャンス。
これら全部。
正解は、(f)。これら全部。
この記事は数ヶ月間の期間に渡って書かれたレポートにリンクしている。話を追いやすいように(特にフォーマットの名前に ついて)おおまかなタイムラインを用意した。
OpenOffice.org は"OpenOffice.org 1.0"フォーマット というオープンなファイルフォーマットを開発し た。
EUコミッションは、Valoris にオー プンファイルフォーマットについてのレポートを委任した。
"OpenOffice.org 1.0 ”フォーマットはOASIS 標 準化委員会 に提出された。KDE と Corel が OASIS テ クニカルコミッティーに参加し、より幅広いアプリケーションをカバーするためにフォーマットを拡張した。
新しいOASISフォーマットはOpen Office XMLと呼ばれ、OpenOffice.orgとKOffice はそれを自分たちの基礎となるネイティヴなフォー マットにするのに尽力した。
Valoris レポートが公開され、マイクロソフトとサンがそれに対応した。The European Union TAC が提言を発表
フォーマットがISOに 提出され、名称をOpenDocumentフォーマット に変更した。
古い名称で普及させないために、以降は”OpenDocument"と呼ぶことにする。
ここで鍵となるのは、EUのTelematics between Administrations Committee (TAC) である。TACは、より競争力のある市場を作り出すためにオープンスタンダードを使う可能性を調査するため、Valorisのコンサルティンググループを雇った。
Valorisレポート は、よく調査された徹底的なものだった。彼らは公認のオープンスタンダードグループにバックアップされたOpen XMLフォーマットの適用を推薦した。
ValorisレポートはOpen XMLテクノロジーが政府の情報システムと要求方針にどれだけ影響 力があるかについての非常に詳しい、とても説得力のある報告書である。
78ページもの報告書をまとめるのは難しいので自分で読んでみることをお勧めする (http://europa.eu.int/idabc/servlets/Doc?id=17982)。Valorisレポートは全編に渡っ てよく調査され、OpenDocumentを奨励するもので、EUはオープンな市場を望んでいる。
ValorisグループはOpenOfficeフォーマットの 発展を綿密に観察し、2004年の11月までには、彼らが持った懸念や 問題点はすべてひとつひとつOASIS TC によって対処された。どのように政府と組織が情報システムの要求方 針を決めるのかということについては、Valorisの試みは他に類を見ない洞察を提供している。
レポートに、Valorisは既存のファイルフォーマットを余すところなくリストにまとめた。これらは一連の要求と比較された。たった2種類のフォーマットがうまく機能し、これらは更に分析されるため選ばれた。
我々にとって、これらの基準に慣れ親しんでいることは重要であ る。政府がOpen XMLフォーマットを採用する前に、彼らが何を要求しているかが分 かる。その基準を3グループに分けてみた。
オープン:この段階の分析では、Valorisは公共性があり、ロイヤリティーのかからない規格であるとい う意味での開放性のみを求めていた。例えば、PDFやMS XML はこの要件にかなっていた。
バイナリがない:バイナリフォーマットは中立であることの障害になる。Windowsの コンポーネントに頼っているフォーマットがGNU/LinuxやMac Osをサ ポートするのは難しい。
クロスプラットフォーム:中立であることに対する明確な要求である。
フォーマットに忠実性を 保つ:これは表示と構造に言えることである。ほとんどのアプリケーションにとって、フォーマットへの忠実性は絶対に必要なことである。
修正可能なこと:PDFのようなフォーマットを除外する。
現在のワープロ機能をサ ポートする:データを表現できないのなら、オープンフォーマットは何の役にも立たない。このリストはUnicodeサポート、双向性(ヘブライ語)、スクリプト作成が含まれていた。Abiwordと KOffice は この要件を満たしていなかった。
新たに発生する要件に対応できること:デジタル署名、アクセス権、バージョン管理など。ほとんど全ての フォーマットがこの要求に応えることができなかった。
これは奇妙に聞こえる。なぜこのことが重要なのか。そんな ことに関係なく最良なフォーマットを選ぶべきではないのか。
答えは単純である:ODAのことを聞 いたことがあるだろうか?おそらくないだろう。
80年代にヨーロッパでOpen Document Architecture (ODA) というオープンスタンダードフォーマットを規定しようと試みがあった。それは欧州委員 会を含むヨーロッパの公共機関からたくさんのサポートを受けた。ODAはECMA標準、ISO標準でもあった。
しかし、ODAはみじめに も失敗した。
ODAは産業界からの援助が全くなかった。 フォーマットが複雑で、企業はSGMLやRTFなどのより実用的な規格をサポートする ことを好んだ。
結論:産業界は内容(** matters )をサポートするのだ。W3Cが、正常に機能する実装をひとつも持た ない規格を決して受け入れないのはこのためである。
注:「幅広く受け入れられる こと」とは、「支配的である」という意味ではない。フォーマットを維持するのに充分な、産業界による採用があるということである。例えば、OpenDocumentはこの条件を満たしている。ODAの試みと違い、OpenDocumentはSun、IBM、HP、Novell、Adobeなど大手同様2つのoffice suiteのサポートも受けている。
全ての基準を完璧に満たすフォーマットはないが、ある2種類のフォー マットは他から傑出していた。
OpenDocument−主な弱点:新たに発生する要求に対し てのサポートにやや不足があった。
MS XML−主な弱点:フォーマットへの忠実性がやや弱い(**medium fidelity) 、クロスプラットフォームであるかどうか確かでない。
MS XMLがOpenDocumentフォー マットより一見優れているように見える点は、カスタムデザインのスキーマがあることだけだ。一方、OpenDocumentは いくつも利点がある。
よりオープンである:法的な制約がなく、OASISからのサポートもある。
可能であれば既存のオープンスタンダードが再利用できる(SVG, Dublin Core, MathML, など)
フォーマットへの忠実性が高い。
XSLT や ほかの XMLベースの ツールと相性がよい。(** Friendly to XSLT and other XML- based tools. )
Microsoftの反応(http://europa.eu.int/idabc/servlets/Doc?id=17984:PDF)は、終始カスタムデザインのスキームは本当に重要であると主張し、とにかく読者を説得 しようとしている。それしか手段がないようだから、驚くべきことではない。
Sunの 反応(http://europa.eu.int/idabc/servlets/Doc?id=17985:PDF)では、MicrosoftのXMLへのアプローチに対する懸念が表わされている。全文を読んでみることをお勧めするが、以下にいくつか抜粋す る。
MS XMLはMicrosoft Officeの全てを含んでいるわけではない(例えば、PowerPointは 含まない)。
MS XMLは、新しいMicrosoft Officeの 機能のいくつかをサポートしていない。
MS XMLはMicrosoft OfficeとWindowsに 依存するバイナリオブジェクトを含んでいる可能性があり(例えばOLEとVBA)、そしてそれらについての完璧なドキュメンテーションがない。
Microsoftは 一般用のMS XMLの 改良に取り組まず、現行の問題を訂正したにすぎなかった。
各社からの反応があってから、EU TACは最終提言(http://europa.eu.int/idabc/en/document/2592/5588)を作成した。これらも有望な内容である。彼らはファイ ルフォーマットの重要性を主張していた。
「・・・公共部門は、フォーマットを処理するアプリ ケーションについて市場関係者に同等の機会を与えない、すべてのフォーマットを避けるべきである。特に市民や企業の側に、製品の選択を強制する可能性があ るばあいには・・・」
Microsoftの カスタム定義スキーマについての議論に対する彼らの反応は興味深いものだった。
この機能が本当に価値のあるものか議論する代わりに、彼らはOASISに、Microsoftの議論 と対等になるよう、カスタム定義スキーマをフォーマットに追加するよう申し立てた。TACはまた、MS XMLとMS XMLの参照ライセンスは充分にオープンではないことを発見し、Microsoftにいく つか提案した。
OASISへ の提言:
カスタム定義スキーマをフォーマットに追加すること。
より公式な認可をもらうためそのフォーマットをISOに提出する こと。
Microsoftへ の提言
一般向けのMS XMLの将来版を作ることを公約すること
国際標準化団体にフォーマットを提出 すること。
フォーマットからXMLでないコンポーネントを取り除くこと。
その他の同業会社への提言:
このフォーマットについて、業界内でより広く意見が一致するように、OpenDocumentの 標準化プロセスに参加すること。
OASISオープンドキュメントとMS XMLの両 方をサポートするフィルターを採用すること。
ドキュメントをXMLフォーマットに移行するツールを公共機関に提供すること。
一般社会への提言
複数のフォーマット、または業界が同意して採用したオープンフォーマットでドキュメントを用意するこ と。
Microsoftの反応(http://europa.eu.int/idabc/servlets/Doc?id=17984:PDF)では、結局行き着いたのはこういうことである:
彼らは無差別な条件(**non-discriminatory)の下でMS XMLの将 来版を発行することに合意した。
彼らはXMLでない要素を全て排除することについては合意しなかったが、XMLでない フォーマットの要素を「精力的に」記録すると言った。彼らはオープンドキュメントもXMLでない要素 (イメージなど)を持っていると主張したが、OpenDocumentではそれらは別のディレクトリにあり、MS XMLにはXMLタグの全体 に組み込まれてることを指摘しそこねた。
彼らはいろいろな種類のフォーマットをサポートすることは重要であるとも言ったが、OpenDocumentを サポートするとは言わなかった。
彼らは、彼らのライセンス方式は完璧で、しかも「ロイヤリティフリーで使用できる権利を持ったプログラムは正式な 基準と並んでひと役買っている」と主張した。言い換えれば:いや、彼らはライセンス方式を標準化団体には提出しない。
Sunの反応 (http://europa.eu.int/idabc/servlets/Doc?id=18016:PDF)は、あらゆる点で、真にオープンなフォーマットの重要性を繰り返し述べている。彼らはISOサポートのアイディアを気に入り、そのフォーマットがISOスタンダードになることを確信している。
IBMの反応(http://europa.eu.int/idabc/servlets/Doc?id=18035:PDF)も肯定的だった。が、私には、ほんの少し不安に思うところがある:
・・・我々は、標準技術は制限なく公開されるべきだと 信じる(必要不可欠な特許に対する正当なロイヤリティー以外は)・・・
これについてはよく知らないので、かっこ内の事柄が重大かどうかは他の人に決めてもらおう。しかしこれ以外は、IBMはEUにこう報告し た:
彼らはOASISテクニカルコミッティーに参加する。
彼らはすでにOpenDocumentに一致する製品(Workplace)を 提供した。
WorkplaceはOpenOffice.org コードに基づいているので、最後の部分は驚くようなことではないが、心に留めておくのにいいコメントである。
OpenDocumentフォー マットは間違いなく、ソフトウェア特許に次いで FOSS運 動にとって最も重要なひとつのステップである。以下の点で独特である:
ベンダーロックインという論争の核をばっさりカットできる。
これは我々が勝利できる戦いである。
OpenDocumentフォー マットは以下の点で成功する現実的なチャンスを持っており、独特なポジションにある:
技術的メリット:カスタムスキーマを含むことによって、OpenDocumentは、 全ての技術的な困難をを満たし、超えることができる。
採用:OpenOffice.org, KOffice, IBM Workplace, StarOffice。OpenDocumentは夢ではない。充分なサ ポートがついた、現実の選択肢を提示する現実のフォーマットある。
OpenOffice.orgはクロスプラットフォームで、ダウンロードとインス トールが簡単で、ヴァージョン2.0をSun、IBM、HP、Red Hat、Novell に出荷する準備をしており、Adobeでさえも、彼らの製品とサービスにOpenOffice.orgコンポーネントを含めることに基づいたEUオープンXML標準の要件を全面的に支援すると発表することができ た。OpenOffice.org とKOffice はどちらも、オープンコンポーネントの枠組みを持ったオープンソースであ り、その枠組みは、ベンダーの市場全体が、従おうと思えば簡単に従うことができるようにするものである。
オープンスタンダード:OpenDocumentは オープンフォーマット以上のもの、オープンスタンダードである。そしてISOとOASISという 標準を定める機関に支援されている。企業や製品にコントロールされていない。SunやIBM、OpenOffice.org やKDE にも だ。マイクロソフトは対抗したがっているだろうか?
オープンドキュメントをスタンダードに推薦する(**Political Will): 欧州連合はオープン標準規格の方針を推進している。アメリカのマサチューセッツ州も同様である。公文書の標準規格としてオープンドキュメントを推進すべき 時が来た。人々はオープンドキュメントに耳を傾けている。
Valoris レポートは、政府文書の公式スタンダードとして成功するオープンフォーマットは、以下の4つの点が必要であることを明確にし た。
技術的メリット:検討されたほとんどのオープンフォーマットは、重要な機能を欠いていた ため最終選考まで行かなかった。いかなる技術的な欠陥も、それがどんなに理論的であっても、それはマイクロソフトにロビー活動する機会を与えることになる のだ。
採用:採用されなければ成功しない。ODAのケースか ら学ぶこと。
オープンスタン ダード:なぜこのことがそんなに重要なのか。以前のOpenOffice.org 1.0 フォー マット やKOffice な ど、どんなオープンフォーマットでもいいのではないか?なぜならMicrosoftが不当な扱いと主張するからだ。そんなことは分かっている。それでも、Microsoftは アプリケーションのサプライヤーにコントロールされたフォーマットに対して、効果的にロビー活動できるのだ。
これが、OpenOffice.orgとKOffice が 基礎的なフォーマットをOpenDocumentに 切り替えている理由である(それぞれバージョン2.0と1.4にて)。
オープンスタンダードのための戦い、スタンダードとしてのOpenDocument(**Political Will):オープンスタンダードのための戦いは易しいものではない。成功するためには、政治家と、彼らを選 出する大衆の意思の力を必要とする。オープンXMLテクノロジーは未来の共同コンピューティングである。しかし彼らの遂行を妥協させたり、 狡猾な特許権と制約的なライセンスでがんじがらめにするような、ライセンス所有者の行為は続くのである。
技術的メリット |
完了 もしフォーマットに重大な欠陥を見つけたら、OASIS TCに参加すること。もしくは、XMLのエキスパートのDavid Wheeler のやり方を見習ってもよい。DavidはOASISのメンバーではないが、彼はいつも討論参加してくれる し、一般のフォーラムで仕様を策定するのに貢献してくれる。OASIS TCはOASIS UBLやW3C XForms グループのような他のオープンなXML関係の活動との連絡役を続けている。 そして、直接仕様に影響を与えるために、多くのOpenOffice.org プ ロジェクトグループのひとつを通じて働きかけるという選択肢が常にある。ここには米国議会図書館のとても複雑なMODSスキーマ の要求を完璧に満たす仕様を策定するのに長年熱心に務めたBibliography and DocBookグループの例を含む。 |
採用 |
|
オープンスタンダード |
完了 |
OpenDocumentの推進(**Poritical will) |
|
『The Shot Heard Round the World: How OASIS Open Document Changes Everything.』
(独立戦争の開始 :OASIS Open Documentはどのようにして全てを変えるか)
http://desktopsummit.com/topics.php#shot
**Groklaw HTML版の追加情報
講演の概要:
2年 間の制作期間に、OASIS OpenDocument XMLファイルフォーマットの仕様は有名になってきつつある。このセッションではOASIS TCが欧州連合(EU)の次世代インフォメーションシステムの必要条件を満たすため、どのようにファイルフォー マットの仕様に飛躍的な改良を加えたか討論する。『カスタム定義スキーマ』の必要条件を満たすためには、XForms, SVG, やSMiL のような改良が必要だった。ISO(the International Standards Organization) への提出はTCのもうひとつのチャレンジだった。ここでは、MSXMLファイルフォーマットとライセンスは『充分オープンである』というMicrosoftのEUに対する主張の原動力についても討論する。EUは自分たちの立場を貫いたのだが(**The EU held their ground though)。『オープンスタンダードベースのオープンXMLファイル フォーマット』は、現在EUが導入を検 討している段階(**purchase cycle)にある。このためマイクロソフトは、OASIS/ISOファ イルフォーマットを現行のMS オフィスアプリケーションとして提供するためにサンと連携することと同様に、2004年11月には、今後 リリースされるもの(future releases)に関する必要条件に従うと折れたのだ。IBMのWorkPlaceの デスクトップ環境は OpenOffice.orgのコンポーネントに基づい ているため、IBM、Adobeと、その他150以上のIBMと提携しているインフォメーションテクノロジーのベンダーもまた11月に、EUの必要条件 の順守を発表することができた。オープンスタンダードポリシーが採用されるようになったとき(**when open standards policies find their way into the purchase cycle)、市場は想像できる限りのあらゆる方面において競争力を持つようになるのである。
もっと重要なことは、オープンスタンダードに基づいたポリシーによってコンピューター使用者たちは、情報と、彼らが頼って いる情報プロセス両方のオーナーシップを持てるようになる。
そのことが全てを変えるのだ。
この記事の技術的な精度はOASIS TCのGary Edwardsチェックしてもらった。最終草案はJean Hollis Webeが編集した。全ての書き間違いと漏れは私の責任にある。
Valoris reportおよび TAC提言とその反応
http://europa.eu.int/idabc/en/document/3439
OASIS Technical Committee
http://www.oasis-open.org/committees/tc_home.php?wg_abbrev=office
この記事は、PJの記事と同じく(** Groklawの)、Creative Commons Licen(http://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/)でライセンスされる。 Daniel Carreraの連絡先はdcarrera at openoffice.org。
この記事はOpenDocumentフォーマット、またはOpenOffice.org 1.0とPDFでダウンロードできる。
OpenDocumentフォーマット : http://www.groklaw.net/pdf/article2.odt
OpenOffice.org 1.0 : http://www.groklaw.net/pdf/article2.sxw
この拡大版タイムラインはGary Edwardsによって提供された。
**Groklaw OpenOffice.org1.0版の追加情報
Sunは、クロス プラットフォームの統合オフィスソフト「StarOffice 」を購入した。彼らはオープンソースコミュニティ「OpenOffice.org 」 を発足し、StarOffice の 基盤となる全てのコードをオープンソースにした。
OpenOffice.orgは、統合オフィスソフトの複合文書の特徴全てをカヴァーするオープンなXMLファイル フォーマット 開発した。大量のオフィスワークの情報(**desktop productivity information) が、「構造化された」ファイルフォーマットとして記述された(**captured )のは初めてのことだった。
Sunと OpenOffice.org コ ミュニティは、オープン XML ファイルフォーマットの仕様をオープンスタンダードの候補として、OASIS に 提出した。
The OASIS Open Office TC (Technical Committee) は第1段階の作業を開 始し、18ヶ 月かけて、2004年3月に完了した。 第1段 階の作業は企業レベルのコンテンツ管理(**content management )と出版関連(**publication concerns )に焦点が当てられた。
貢 献者たち(Boeing, Arbortext, Stellent, Documentum, Corel, SpeedLegal, the Australian National Archives, and the International Biblical Society)は、30年以上の実績を持ち、いまだ稼動中で生産的なレガシーアプリケーションとシステムを移行可能にするため、先頭を切って仕様を拡大し た。 (Boeing, Arbortext, Stellent, Documentum, Corel, SpeedLegal, the Australian National Archives, and the International Biblical Society lead the way in expanding the specification to meet the transformation demands of having over 30 years of legacy applications and systems still on line, and still productive. )
第1段階の作業は、 拡張性と包括性に焦点が当てられた。ファイルフォーマットの仕様は、レガシーインフォメーションシステムと、急速に進化している将来の出版とコンテンツ管 理システムの間の一般的な変換レイヤーとして位置づけられた。
EUは、 Valoris に2つの懸念につい て調査するよう任命した。1点 目はオープンスタンダードに基づくインフォメーションシステムについてだ。2点目は、EUがどのようにしてオープンで高い競争力のあるインフォメーションテクノロジーの市場を創造 できるかということである。Valoris は、すぐにオープン XMLテクノロジー とOASIS Open Office XMLファ イルフォーマットTCに 焦点を合わせた。
第2段階の作業で は、 OASIS TCは オフィスワーク用アプリケーション(**desktop productivity applications)の新たに発生するニーズに焦点を移した。KOfficeはTCに参加し、仕 様をより広い範囲のオープンXMLテ クノロジーとマルチメディアフォーマットを含むために拡大する研究が本格的に始まった。XForms, SVG, SMiL, Bibliography, UBL, XBR, DocBook のためのイニシアチブ(**Initiatives for 〜)、 プロジェクトとコンテンツマネージメントスキーマ、カスタム定義スキーマ、インテリジェントな複合文書(**intelligent compound documents )、ワークフローの 統合、他が研究されている。 OASIS TCは「生産性環境」(**productivity environment )の観点から考え始め、将来の共同 コンピューティングの要求について考慮した。
Valorisレ ポートが発表された。 MicrosoftとSunがそれに反 応した。The European Union TAC が提言を発表した。
OASIS TCが、 カスタム定義スキーマの原理(the custom-defined schema fundamentals) を含めEUの提言に反応 した。フォーマットは公式な標準規格としてISOとOASISに提出された。ニュートラルでオープンな精神を持つEUの要求と、生産的環境の仕様の性能の急速な拡大(**the rapid expansion of the specifications productivity environment capabilities )を踏まえて、TCは名称を 「OpenDocument」フォーマットに変更した。
この論文は、OpenOffice.orgコミュニティで精力的なボランティアである Daniel Carreraの『The Future is Open:What OpenDocument is and why you should care』の全訳です。
元の論文は、Groklaw(http://www.groklaw.net/)に掲載され、Slashdotにも紹介されました(この2つには多くのコメントが付いています)。
翻訳は、 Groklawで公開されたHTML版と、そこからダウンロードできるOpenOffice.org 1.0フォーマット版により行いました。HTML版には、Groklawの編集者PJによる序文とGary Edwardsの講演の概要が掲載されています。また、OpenOffice.org 1.0フォーマット版には、付録1:拡大版タイムラインが掲載されています。どちらも役に立つ情報なので、ここではその両方 を訳出しました。
この日本語訳版は、オリジナルと同じ くCreative Commons Licenでライセンスされます(http://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/)。
翻訳上の疑問点があった場合、「 ** 」マークで原文および訳注を示しました。
皆さんのご意見を期待しています。
可知 豊(http://www.catch.jp/、 catch at openoffice.org)
2005-02-11 003 :日本 語訳を暫定公開
2005-02-01 :オリジナル版がGroklawで公開