文節の区切りが違っていたら。
長めに文章を入力すると今度は別の問題が発生します。
日本語変換が、文節の区切りを勘違いするのです。
文節の区切りを間違える例
「吾が輩は猫である」を例に取ると
わがは|いはねこである
和賀は岩根湖である
なんて具合に、文節の区切りが違ってくる場合があるのです。
何年か前のテレビCMでは、こんなのもありました。
入れ立てのお茶
入れた手のお茶
また、こんなふうに二重に変換できる場合もあるでしょう。
大きなぞうがめに入る
大きな象が目に入る
日本語変換は、「は」とか「が」「な」といった文字を基準に文節を判断しています。
だから、こんなコトが起こるんです。
日本語にうまく変換できない時は、この区切りの間違いが案外多いのです。
文節の区切りを修正するには
もしも区切りが間違っていたら、次のようにして正しい区切りを教えてやりましょう。
前回、文節の位置を移動するには[←][→]キーを使いました。
文節の区切りを修整するには、
[SHIFT]キーを押しながら[←][→]キーを押してやります
文節をのばす [SHIFT] + [→]キー
文節をちぢめる [SHIFT] + [←]キー
試しに「わがはいはねこである」を変換してみてください。
まず、[→]キーで、変換対象の文節が変わりますよネ。
ここで[SHIFT]キーを押しながら[→]キーを押してみましょう。
文節の選択範囲が一文字分長くなります。
[SHIFT]キーを押しながら[←]キーを押すと
文節の選択範囲が短くなります。
もう一度[変換]キーを押すと、その文節に合わせて変換候補が表示されます。
この操作が覚えられなくても・・・
これは、ぜひ実際に試してみてください。
でも、操作がややこしいと思ったら、
文節をひとつづつ区切って変換してやっても良いでしょう。
うまく行かない時には確実な方法です。
では、今日も練習してみましょう。
また「吾が輩は猫である」です。
同じ文章で何度も練習していると例文を覚えてしまうので
それだけ入力に集中できるようになります。
いちいち画面を見直さなくてもキーボードを探せるのです。
変換の練習
では、短めに区切って変換する練習をやってみましょう。
例によって、夏目漱石の「吾が輩は猫である」の登場です。
「ここで区切ると良いよ」という位置に「|」で印がつけてあります。
(もう少し長めに区切る方法は、次のページで説明します。)
ひらがなに注意しながらやってみましょう。
No | 問題 |
---|---|
* | わがはいはねこである。 |
吾輩は猫である。 |
No | 問題 |
---|---|
1 | なまえはまだない。 |
名前はまだ無い。 |
No | 問題 |
---|---|
2 | どこでうまれたかとんとけんとうがつかぬ。 |
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。 |
No | 問題 |
---|---|
3 | なんでもうすぐらいじめじめしたところで |
何でも薄暗いじめじめした所で |
No | 問題 |
---|---|
4 | にゃーにゃーないていたことだけはきおくしている。 |
にゃーにゃー泣いていた事だけは記憶している。 |
No | 問題 |
---|---|
5 | わがはいはここではじめてにんげんというものをみた。 |
吾輩はここで始めて人間というものを見た。 |
No | 問題 |
---|---|
6 | しかもあとできくとそれはしょせいという |
しかも後で聞くとそれは書生という |
No | 問題 |
---|---|
7 | にんげんじゅうでいちばんどうあくなしゅぞくであったそうだ。 |
人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。 |
No | 問題 |
---|---|
8 | このしょせいというのはときどき |
この書生というのは時々 |
No | 問題 |
---|---|
9 | われわれをつかまえてにてくうというはなしである。 |
我々を捕まえて煮て食うという話である。 |
No | 問題 |
---|---|
10 | しかしそのとうじはなんというこうもなかったから |
しかしその当時は何という考もなかったから |
No | 問題 |
---|---|
11 | べつだんおそろしいともおもわなかった。 |
別段恐しいとも思わなかった。 |
No | 問題 |
---|---|
12 | ただかれのてのひらにのせられて |
ただ彼の掌に載せられて |
No | 問題 |
---|---|
13 | すーともちあげられたとき |
すーと持ち上げられた時 |
No | 問題 |
---|---|
14 | なんだかふわふわしたかんじがあったばかりである。 |
何だかふわふわした感じがあったばかりである。 |
No | 問題 |
---|---|
15 | てのひらのうえですこしおちついてしょせいのかおをみたのが |
掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのが |
No | 問題 |
---|---|
16 | いわゆるにんげんというもののみはじめであろう。 |
いわゆる人間というものの見始めであろう。 |
No | 問題 |
---|---|
17 | このときみょうなものだとおもったかんじがいまでものこっている。 |
この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。 |
No | 問題 |
---|---|
18 | だいいちけをもってそうしょくされべきはずのかおが |
第一毛をもって装飾されべきはずの顔が |
No | 問題 |
---|---|
19 | つるつるしてまるでやかんだ |
つるつるしてまるで薬缶だ。 |
No. : 913.6 な そ 著者名 : 夏目漱石 書籍名 : 吾輩は猫である(新字・新仮名遣い) 底本 : 「夏目漱石全集1」ちくま文庫、筑摩書房 1987(昭和62)年9月29日第1刷発行 底本の親本 : 「筑摩全集類聚版夏目漱石全集」筑摩書房 1971(昭和46)年4月~1972(昭和47)年1月にかけて刊行 入力者名 : 柴田卓治 校正者名 : 渡部峰子、おのしげひこ、田尻幹二、高橋真也、しず、瀬戸さえ子