オープンソースの動画編集ツールOpenShotを使いこなすテクニック
2024-5-06
Scratchの解説動画を制作するために動画編集ツール「OpenShot Video Editor」を使ってみました。「OpenShot Video Editor」は、無料で使えて機能も十分、WindowsでもMacでもLinuxでも使えます。
ただ、日本語のドキュメントが見つけにくいようです。そこで、自分が見つけたコツをまとめておきます。OpenShot Version 3.1を対象として、Windows11で動作確認しています。ただ独自に調べたところもあるので、間違っているかも知れません。お気づきに点があれば教えてください。
1. 効果が付くのは再生ヘッドの位置
OpenShotでは、下にある「タイムライン」(Timeline)で動画を編集します。ここに、動画・画像・音声を並べてつなげていくのです。ちなみに、タイムラインに並べた動画・画像・音声を「クリップ」(Clip)と呼びます。
現在の再生位置は、縦の赤線の「再生ヘッド」(Play-head)で表します。
また、時間軸で分割する「スライス」や再生スピードを変える「タイム」、プロパティによる微調整なども「再生ヘッド」の位置を基準におこないます。
そのため、必ず再生ヘッドの位置を確認しましょう。再生ヘッドの位置がずれていると、思わぬところに効果が付いてしまいます。
特定のクリップ全体に効果を付けたい場合は、再生ヘッドをクリップの先頭に合わせます。クリップの先頭に再生ヘッドを合わせたい場合、次のように操作します。
-
対象のクリップをクリックして選択する
-
タイムラインのツールバーで「左矢印」ボタンをクリック
2. キーフレームを基準に動画が変化
ご存じのように、動画やアニメはパラパラマンガのような複数の静止画を連続して再生することで動いているように見せかけます。このとき、ひとつ一つの静止画を「コマ」= フレーム(Frame)と呼びます。
でも、動画の効果を一コマづつ設定していくのは大変です。そこで利用するのが「キーフレーム」(Keyframe)です。
キーフレームとは、代表となるコマのことです。キーフレームだけ拡大・縮小などのスケールや位置・明るさなどを設定しておくことで、それ以外のフレームの設定値を自動的に変化させます。
たとえば、1つのクリップの先頭と最後にキーフレームがある場合を考えてみましょう。キーフレームはたくさんの設定項目を持っています。次のようにX座標を変えておくと、クリップの再生に合わせてX座標が「0」から「1」へと少しづつ変わっていき、再生ヘッドの位置に合わせて自動的に横にスライドするように再生されるのです。
-
先頭キーフレーム : X座標 = 0.00
-
末尾キーフレーム : X座標 = 0.50
効果を付けたりプロパティを設定すると、現在の再生ヘッドの位置で自動的にキーフレームが作成されます。キーフレームが作成されると、タイムラインのクリップの下にマークが表示されます。また設定値を変更したプロパティは、緑色で表示されます。
OpenShotの基本となる操作をチュートリアルで学んだあと、さらに細かく動画に効果を付けていく場合、この再生ヘッドとキーフレームの理解が使いこなしのカギになります。
3. クリップの拡大と位置調整
YouTubeなどの動画で、操作画面の一部を拡大することがありますよね。
OpenShotでクリップの一部を拡大表示するするには、クリップ先頭のキーフレームで「拡張X」と「拡張Y」というプロパティを設定します。
拡大表示する位置を調整するには、クリップ先頭のキーフレームで「X座標」と「Y座標」というプロパティを設定します。これをクリップの拡大と組み合わせると、拡大したクリップの位置を調整できます。
クリップ全体の拡大と位置調整するとき、必ず再生ヘッドをクリップの先頭に移動するのを忘れないでください。
4. 再生スピードを変える
クリップの再生スピードを速くするには次のように操作します。
-
タイムラインでクリップを選択
-
クリップ左上の[v]マークをクリック(または右クリック)
-
表示されたメニューから [タイム] > [高速] > [順方向] > [X2]を選択
「X2」を選択すると、2倍速で再生されます。
5. クリップを一時停止させる
また、操作画面を一時的に停止させたい場合もありますよね。
クリップの一部を停止させるには、次のように操作します。
-
静止したい位置に再生ヘッドを移動する
-
クリップ左上の[v]マークをクリック(または右クリック)
-
表示されたメニューから [タイム] > [静止] > [2秒]を選択
「2秒」を選択すると、2秒間だけ一時停止した期間がクリップに追加されます。
6. プロジェクトファイルが共通だとキーフレーム共通になる
OpenShotでは、プロジェクトに登録したファイルをタイムラインに並べて動画を作ります。同じファイルを複数の場所で使ったりスライス(分割)して使ったりできます。
じつは、タイムラインに別々のクリップとして並べていても、プロジェクトファイルが共通なら同じデータとして扱われています。あるクリップにキーフレームを追加すると、別のクリップにもキーフレームが追加されます。
同じ場面を何度も繰り返すような場合、共通のキーフレームが影響を及ぼすことがあるので注意しましょう。
7. キーフレームを削除する
変な位置にキーフレームができてしまった場合は、プロパティの設定値ごとにキーフレームを削除する必要があります(めんどい)。
-
削除したいキーフレームに再生ヘッドを移動する
-
プロパティで、緑色になっている設定値を右クリック > [キーフレームを削除]
-
緑色になっている設定値のところでこれを繰り返す
8. サブ画面(ワイプ)として表示する
OpenShotでは、タイムラインの同じタイミングの異なるトラックにクリップがあると、上のクリップが手前に表示されます。グラフィックツールのレイヤーのように動作するのです。
そのため、上のクリップのサイズを小さくしておくと、サブ画面(ワイプ)のように表示できます。
クリップのサブ画面のようにするには、次のように操作すると簡単です。
-
サブ画面にしたいクリップをタイムラインの上のトラックに配置する
-
クリップ左上の[v]マークをクリック(または右クリック)
-
表示されたメニューから [配置] > [1/4サイズ_右下]を選択
9. タイトル/字幕を付ける
OpenShotには、タイトルや字幕を付ける機能を持っています。
タイトルを追加するには次のように操作します。
-
上部メニューで[タイトル] > [タイトル] を選択
-
「タイトル」ダイアログボックスが表示されたら、必要事項を入力
-
「保存」ボタンをクリック
これで、プロジェクトファイルにタイトル画像が追加されました。他のクリップと同じように、この画像をタイムラインに追加すればタイトルとして表示できます。
また、SVGフォーマットの画像ファイルをタイトルとして使うこともできます。細かな調整が必要な場合は、InkScapeなどで作成するといいでしょう。
まとめ
OpenShotは、商用ツールと比較して操作がこなれていないところもありますが、簡単なYouTube動画などを作るなら十分使えると思います。